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古手 梨花 :
●村民会議
その日、村人たちは公民館に集っていた。
最近新たにやってきた訪問者、彼女についての会議だ。
彼を定住させるにはどうするか、はたまた彼女を生贄に捧げるにはどうするか―内容は自由に決定して構わない。
大事なのは、訪問者について村人たちが相談しているということ。それだけだ。
★キーワード
訪問者、「君はどう思う」、「その意見に賛成/反対だ」
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古手 梨花 :
主演:梨花
助演:飛段
[メイン2] 古手 梨花 :
[メイン2] 古手 梨花 :
[メイン2] 古手 梨花 :
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古手 梨花 :
─────歓迎会を終え、村の重役を務める面々が
公民館へと集まり、和気藹々を茶菓子を摘みながら
定例会議を始めるのであった。
[メイン2] 古手 梨花 : そこには、梨花と飛段の姿もあり、そして─────。
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古手 梨花 :
会議室内には、多くのお年寄りの姿と
村長……ではなく、白髪と眼鏡の男性が、ホワイトボードの前に立ち。
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古手 梨花 :
今年の雛見沢村の出来事について、そして何か大事なことが無かったかどうか
村人の生存確認と、そしてくだらない雑談をしていたのであった。
[メイン2] 古手 梨花 : 梨花という少女は、ぶっちゃけるとこの場では浮いていた。
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古手 梨花 :
お年寄りの比率の方が高く、子どもは梨花一人だけ。
そのため梨花も、居づらそうに、肩を縮こませながら、会議を聞いていた。
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飛段 :
「んでよォ……その後やってやったんだ……ドーーンってなァ…」
飛段は老人の1人に対して団欒程度に武勇伝を語っている
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古手 梨花 :
「あははは……飛段は相変わらずの乱暴者なのです」
困り眉で、あはは…と笑いながら。
[メイン2]
古手 梨花 :
梨花は、この雛見沢村にある、雛見沢神社の神主である。
背の小さい、まだあどけない少女ながらも、"重役"として数えられているのだ。
[メイン2] 飛段 : 「なァこれじゃ混ざれない梨花が不純で仕方ねェよォ……何か他の話題出そうぜェェ」
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古手 梨花 :
「みぃ……」
申し訳なさそうな顔をしつつ、壇上に立つ、白髪の男性へと目を向ける。
[メイン2]
村人 :
「ははは…。そうですね。それでは本題に移りましょうか」
集まってくれた村人の面々に笑顔を向ける。
[メイン2] 古手 梨花 : "本題"。
[メイン2] 古手 梨花 : その単語に、梨花の目の色が変わる。
[メイン2]
古手 梨花 :
「……はいなのです」
姿勢を正しながら。
[メイン2] 飛段 : 退屈そうに腰に手を当てて、態度も悪く壁にもたれかかりながら
[メイン2]
村人 :
「新しくこの村に訪問してきた彼女──シャマレさん、彼女の処遇についてです」
先ほどまでにこやかだった眼鏡の奥の瞳が冷たい色に変わる。
[メイン2] 古手 梨花 : 「……………」
[メイン2]
:
しぃん、と場が鎮まる。
それだけに、この話題の"重要性"が伺えるだろう。
[メイン2] 飛段 : 「おっ」
[メイン2] 飛段 : 「そういやそろそろかァ」
[メイン2]
古手 梨花 :
「………はい」
こくりと、頷く。
[メイン2] 古手 梨花 : その顔は、どこか浮かない。
[メイン2] 飛段 : わざとらしくか?或いは天然なのか、"それ"について促すように
[メイン2] 村人 : 「まあ処遇と言ってもひとつに決まっているのですけどね」
[メイン2]
飛段 :
「!」
語り手となる村人の方に視線を送って
[メイン2] 古手 梨花 : 「………」
[メイン2]
村人 :
「彼女には習わしに沿って"生贄"になってもらう予定です」
さも当然のように言い放つ。
[メイン2] 古手 梨花 : 裾のあたりを、きゅっ、と握り締める。
[メイン2]
古手 梨花 :
"彼女"。
─────そう、シャマレのことである。
[メイン2] 古手 梨花 : 梨花の眉間に、小さく皺が寄る。
[メイン2]
古手 梨花 :
「……変更は、できない……なのです、よね……?」
小さく手を上げ、か細い声で、この会議で初めて発言をする。
[メイン2] 飛段 : 「訪問者のあの娘をねェ」
[メイン2] 村人 : 「梨花様はこの村の巫女ならば、誰よりもその重要性がわかっていると思ったのですが…」
[メイン2] 古手 梨花 : 「ぁ………みぃ……」
[メイン2] 飛段 : 「梨花ちゃまァ…そりゃ無理があるぜ……儀式そろそろ行ってねェと厄溜まっちまう」
[メイン2]
古手 梨花 :
白髪の男性と、そして飛段にそれぞれ目をやりつつ
そして─────他の、会議に参加する"重役"達からも
[メイン2] 古手 梨花 : 冷たい視線が向けられ、縮こまってしまう。
[メイン2]
古手 梨花 :
「………はい……その通り、なのです……
厄は、払わないと……この村が……滅んでしまう」
[メイン2] 飛段 : うんうんと強く頷く
[メイン2] 古手 梨花 : 表情が悲しそうに、辛そうに。
[メイン2]
村人 :
「はい。この村のためには生贄がいる。私情は捨てるべきですね」
よくできましたと梨花に笑顔を向ける。
[メイン2] 古手 梨花 : 梨花も、この会議で上げられている"儀式"の重要性を、十分に理解している様子で。
[メイン2]
古手 梨花 :
白髪の男性の笑みに、少し怯えた様子ながらも
なんとか笑顔を作り、ありがとうございますなのです……と
小さく会釈をし。
[メイン2] 飛段 : 「んじゃ次の議題行くかァ?」
[メイン2]
古手 梨花 :
「……次……」
ごくりっ、と思わず唾を飲み込む音を出す。
[メイン2] 村人 : 「そうですね。反対意見もないようなので」
[メイン2]
古手 梨花 :
そして、飛段の方へと視線をやり
その次に紡がれる言葉を待つように。
[メイン2] : 当然のことながら、異を唱える重役は……
[メイン2] : 一人たりとも、存在しなかった。
[メイン2] 古手 梨花 : ─────そう、若き村長さんは、ここにはいない。
[メイン2] 古手 梨花 : それが何を意味するのか?
[メイン2]
古手 梨花 :
彼もまた、重役である。
村長なのだ、重役でないわけがない。
しかし、なぜ呼ばれていないのか?
[メイン2]
古手 梨花 :
─────この村の実権は、壇上に立つこの……白髪の男性が
そして、この定例会議に参加する、"重役"達が握っているのだ。
[メイン2] 古手 梨花 : 須賀 孝太郎という青年は……名ばかりの、村長なのだ。
[メイン2] 飛段 : 「んじゃ次は誰が執行役をやるかってンだが……」
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古手 梨花 :
「……っ……!」
ぴくりっ、と反応をする。
[メイン2] 飛段 : 「異論ねェならオレがやろうかァ?」
[メイン2]
古手 梨花 :
そして、冷や汗が梨花の頬を、そして首筋を伝いながら
……飛段の方へと、視線を向け。
[メイン2] 飛段 : ゲラゲラと、笑みを浮かべつつ
[メイン2] 飛段 : そう言って、他の村人の方を向いて
[メイン2] 飛段 : 「っし、無さそうだなァ!」
[メイン2] : うんうんと頷く、重役達。
[メイン2] 村人 : 「すみませんね。飛段さんには毎年毎年執行役をやってもらって」
[メイン2] 村人 : 「しかし、あなたのような人がいるからこそ、この村の繁栄があるのです」
[メイン2] 飛段 : 「それほどでもねェぜ……そりゃ誰かがやらねェと始まらねェからなァァ……」
[メイン2] 村人 : 飛段の言葉にこくりと大きくうなずく。
[メイン2] 村人 : 「それでは今年の執行役も飛段さんと言うことで」
[メイン2] 古手 梨花 : 「………」
[メイン2] : ぱちぱちぱちと拍手を送る重役達。
[メイン2]
古手 梨花 :
同じように、梨花もまた、拍手を小さく送るのだった。
……暗い表情で、苦しそうな表情で。
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飛段 :
「へへへ、ありがとなァァ!」
わざとらしく手を広げ、お辞儀をし
更に神を信仰する祈りを捧げるように手を組んで
[メイン2] 古手 梨花 : その光景は─────異様だった。
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古手 梨花 :
つまりは、少女の命を……"犠牲"にする。
その執行人を決めるものであったのだが。
誰一人として、嫌悪感を抱くような素振りを、見せていなかった。
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古手 梨花 :
ここは現代日本だ。
しかし─────閉鎖された場所だ。
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古手 梨花 :
この雛見沢村は、辺境の地にあるということもあり
他地域からの流通量も乏しく、ほぼ自給自足で賄わなければならないほど
小さく、そして脆い村である。
[メイン2] 古手 梨花 : そして、この村には─────古くから伝わる、伝統儀式があった。
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古手 梨花 :
それは、少女の命を神に捧げることによって
この村の農耕や畜産を、より豊かにするというものだ。
[メイン2] 古手 梨花 : オカルトだ。
[メイン2] 古手 梨花 : しかし、"事実"でもあった。
[メイン2]
古手 梨花 :
実際にこの村では、その儀式を行うことで
確かに、村人達の暮らしを豊かにしているという、記録があるのだ。
[メイン2] 古手 梨花 : …………………。
[メイン2] 古手 梨花 : ………。
[メイン2] 古手 梨花 : なんて
[メイン2] 古手 梨花 : クソみたいな村なのかしら。
[メイン2] 古手 梨花 : 嫌気が差す。
[メイン2] 古手 梨花 : ふざけんじゃないわよ。
[メイン2] 古手 梨花 : ……私は……何度、この光景を見たことか……。
[メイン2] 古手 梨花 : ………絶対に、変えてみせる……。
[メイン2] 古手 梨花 : そんな悲劇、許されちゃいけないのよ……!
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古手 梨花 :
……でも、どうしたら………。
"前回"も……糸口は、見つからなかった……。
[メイン2] 古手 梨花 : 梨花は、苦虫を嚙み潰したような表情で、飛段に拍手を送り続けるのであった。
[メイン2] 古手 梨花 :
[メイン2] 古手 梨花 :
[メイン2] 古手 梨花 :
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飛段 :
●夜の密会
月が落ち、村全体が寝静まった夜。飛段と孝太郎はとある場所に集まっていた。
誰にも知られぬ夜の密会。目的は一つ、この村に伝わる「因習」について会話するためだ。
昼間では誰に聞かれるか分からない。だからこそ、この時間に話す必要があったのだ。
今、この話を聞いている者はいない。ならばこの機会に、存分に話そうじゃないか。
★キーワード
儀式、因習、月も無い夜
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飛段 :
主演:飛段
助演:孝太郎
[メイン2] 飛段 :
[メイン2] 飛段 :
[メイン2] 飛段 :
[メイン2] 飛段 : すっかり日も暮れて、周りの家の灯りも次々と消えて行く
[メイン2] 飛段 : 1つ、1つと消えて行くのは何かの暗示か
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飛段 :
そんな中、更に暗くなり行く道を男が2人して歩く
周りに見えていた田畑すら今では溝しか見えない、そのような暗さで
[メイン2] 飛段 : 長物を持ったコートの男と─────
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 月も無い夜に溶け込むような黒服の男だ。
[メイン2] 飛段 : 「……ふぃー疲れた、今回も最後まで労働してやったぜ」
[メイン2] 飛段 : 腕を伸ばして、さぞ疲れたかのように
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須賀 孝太郎 :
「…………」
横目でその姿を見て。
リラックスしたような彼と裏腹に、心臓が高鳴っていた。
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須賀 孝太郎 :
──こんな夜に、呼び出された事実。
不吉な予感が冷や汗となって頬を流れていた。
[メイン2] 飛段 : 「あーそうだ」
[メイン2] 飛段 : 「シャマレって娘に決まったらしいぜ?今年の」
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飛段 :
今年の。
それだけで村間では通じてしまう呪法の言葉
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須賀 孝太郎 :
「……?」
その端的な言葉に、わずかな間意図を計り損ねて。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 「────ッ!」
[メイン2] 須賀 孝太郎 : ぴたりと足が止まる……いや、動かせなくなった。
[メイン2] 飛段 : 「おっ、どうした村長」
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須賀 孝太郎 :
『なぜ?』
それは色々な意味を含んでいたが、メモの上で文字にできたのはそれだけだ。
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飛段 :
にたぁ。と嗤う
その顔は月明かり無き夜には映らず、されとて目の前の彼には雰囲気から伝わるだろう。
[メイン2] 飛段 : 指を3本立てて
[メイン2] 飛段 : 「一つ目ェ……会議で全会一致したからァ」
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 手が白くなるほど握りしめる。
[メイン2] 飛段 : 「二つめェ……ただの報告ゥ……」
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飛段 :
にたり、にたり
[メイン2] 飛段 : 2つの指を折ったところで、飛段の口は裂けるように嗤う
[メイン2] 須賀 孝太郎 : ぞわりと。目の前の男の雰囲気に鳥肌が立つ。
[メイン2] 飛段 : 「───3つ目ェ……随分と仲良さそうだったからなァ」
[メイン2] 須賀 孝太郎 : この感覚には……ある。覚えが。
[メイン2] 飛段 : 「孝太郎サン」
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須賀 孝太郎 :
あの時。そうだ、あの時。
目の前の明るく、少しなれなれしいくらいの……でも、気持ちのいい男が。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 考太郎の前で兄貴分ではなく憎むべき仇に変わったときの感覚。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 名を呼ばれ、返事をする前に──
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須賀 孝太郎 :
「……ッ!!」
思わず、拳が振りあがっていた。
[メイン2] 飛段 : 「あのガキは候補に上がってたからなァ……」
[メイン2] 飛段 : 飛段はそれすら見越しているかのように破顔する
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須賀 孝太郎 :
許せない。
ただ、その思いが拳を動かし──!
[メイン2] 飛段 : 「やめとけよ」
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 「……!?」
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飛段 :
「お前じゃオレにはこの場で勝てねえよ」
突きつけるのは、刃
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
拳がすんでのところで止まる。
あと一歩でも踏み込んでいれば──突き刺さっていた。
[メイン2] 飛段 : 「おーーっとォ……かと言って儀式の邪魔とかしようとするんじゃねェぜ?」
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須賀 孝太郎 :
「……ッ!……、……、……!!!!」
やりきれない。何も出来ないという事実を現実のものとして突き付けられており。
[メイン2] 飛段 : 「次はそこだけじゃ済まねえからよォォ??」
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飛段 :
更に刃を突きつける
喉、そして次に胸へと
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 「────」
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須賀 孝太郎 :
『これは弱いせいです』
震える手でメモをしたためる。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
言葉を失ったのは、”祟り”なんかじゃない。
ただ自分の心も、何もかも弱かった、その報いでしかない。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : だから。今度こそは……打ち勝てる……
[メイン2] 須賀 孝太郎 : そんな思いと裏腹に、手は震えていた。
[メイン2] 飛段 : 「……ハハッ、夜は冷えるもんな!」
[メイン2] 飛段 : いつの間にか刃は仕舞われており
[メイン2] 飛段 : 「コートでもいるかァ?」
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
「…………ッ」
ふうー……と、ようやく息をつけた。
僅かな間だったというのにどっと疲労が押し寄せ。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 拒絶するように睨みつけ。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
『なにも変わっていませんね
飛段兄さん』
[メイン2] 飛段 : 「ッハ」
[メイン2] 飛段 : 「変わんねェよ」
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飛段 :
「10数年くらいはなァ!」
夜には似つかない高笑いをしつつ
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須賀 孝太郎 :
かつて、気弱な自分の兄のような存在だった男。
──かつて、執行人として僕の親友を生贄として殺した男。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
そして──親友を儀式から助けようとした僕を、その手で止めた男。
その両方の顔は、まるで変わっていなかった。
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飛段 :
そう、飛段が初めて人を手にかけた時と何一つ変わらない
その時の兄貴分からも、何一つ
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 一言で表すなら──狂人。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
村長の立場になって分かった。
”生贄”を求める村の上層部の多くは、結局自分の利益しか考えていなかった。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
だが、飛段さんは違う。
この人は目先の利益なんかには興味が無い。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 『なにが目的なんですか』
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
短期的には、こうしてわざわざ先に情報を伝えた意味を。
だが本当に聞きたいのはそうした今までの行動の理由全部だったかもしれない。
[メイン2] 飛段 : 「……ヒヒッ」
[メイン2] 飛段 : 「なァ孝太郎……オレぁつくづく思うけどよォ」
[メイン2] 飛段 : 「楽しい事をしたいならそれ相応の努力しなくっちゃなァァ」
[メイン2]
飛段 :
これが本質
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 「…………」
[メイン2] 飛段 : 殺戮をするために気さくに振る舞い、粗暴に振る舞い
[メイン2] 飛段 : 最後のデザートを愉しむように殺戮を行う
[メイン2]
飛段 :
村人に見せる顔も全部が全部、演技に近い
かと言って、嘘でもない
[メイン2] 飛段 : 損な役回りを引き受けるようにするのも"殺人"の為だけだ
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 『そうですか』
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 「──」
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 『ありがとうございます。』
[メイン2] 飛段 : 「ああ、ありがとよォ」
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
秘密を守る最良の手段は、それを忘れることだ。
孝太郎は今まで、忌まわしい過去をずっと忘れようとしてきた。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
でも、もう思い出した。
二度と守りたいものを失うまいと思ったあの日を。
女の子一人助けらず、ただ見ているしかなかったあの日の怒りを。
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
しぃちゃんは、こんな”愉しみ”や”利益”なんかのために死んで良い子じゃなかった。
僕は永遠に許さない。しぃちゃんの命を無駄にする気もない。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : かたき討ちが優しいあの子の弔いになるなんて思わないけど──
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
あの日燃えた怒りの炎で雛見沢村を。この、因習村を燃やす。
それがしぃちゃんの命を無駄にしないために、僕ができることだ。
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 雲が晴れて、星明りが見えだす
[メイン2] 須賀 孝太郎 : 1つ、1つと灯って行くのは何かの暗示か
[メイン2]
須賀 孝太郎 :
[メイン2]
須賀 孝太郎 :